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第5曲  歩の新たな日々 
2010 / 06 / 11 ( Fri )  21:57







「最近なんだか楽しそうね、歩」
「ああ。結構楽しんでる。」
「軽音部のマネージャーだっけ? 何でマネージャーでなの?」
「さあな。ただその時、たまたま気分が向いた。それだけさ」

 歩はまどかと清隆の疑問に肩を竦めて、朝食の食器を片付けて鞄を抱えた。

「その割りには、真剣にバンド音楽の知識を詰め込んでるじゃないか」
「……まあな。残りのタイムリミットまで、あいつらに時間を使ってもいいかって思ったから、かな」
「何故だ?」

 会って間もないのにと、清隆の鋭い神の視線が突き刺さる。
 それと同時に、まどかの心配する視線も。

 歩は扉を開け、首だけを振り返って朝日を浴びながら答えた。

「あいつらの音楽が、俺にピアノを弾きたいと思わせてくれたからだ」






 歩の行動は迅速だった。
 マネージャーでとして入部が決まり、顧問の沢子先生に届け出て受領されると、すぐに彼女たちの音楽のMDとディスクを貰った。

 それを家でデータを吸い出して編集。写真のデータを使ってジャケットまで作りシングルとアルバムを作った。
 流石は神の弟なだけはあり、センスもずば抜けていたので実にかっこいいジャケットが完成した。
 また同時に『放課後ティータイム』の公式ホームページまで開設し、メンバー紹介から活動報告、動画まで載せたのである。

 だがここで上手いのが、彼は編集する事で、彼女たちの顔を隠して、尚且つ所在や学校をバレないょうにしたのだ。

 そうして一仕事を思った終えた歩は放課後、彼女たちとお茶を飲んでいた。
 入部して数日にも関わらず、すっかりと部活中にお茶という行為に慣れてしまった。
 そこで、ふと唯が思い出したように歩に聞いた。

「そうだ。ねえねえ、鳴海君」
「ん? 何だ平沢」
「ちょっと気になったんだけど、鳴海君って前はどこの学校だったの?」
「前? 前の学校は私立月臣学園だが」

 何気ない歩の言葉に、ビシリと固まったのが澪と梓であった。
 口の中の紅茶を吹きそうになって、必死に堪える。

「つ、つ、つ、月臣学園!?」
「えぇえええええええええええ!? あの全国でもトップクラスの超難関学校ですか!?」
「いや、学力だけじゃなくて、スポーツなどの様々な分野でも有名だぞ、あの学校!」

 2人は自分が知っていた知識を堪らずに曝け出す。
 そう。月臣学園は全国の私立の中でもトップクラスの進学校にして超難関学校である。学力は言わずもがな、多分野においてもトップの人間が集う学校で有名であった。

「ああ、そういえば聞いたことあるなぁ。月臣学園」
「私も聞いたことあります」
「ん~? なんかTVとかでも特集組まれてたような・・・・・・でも、そんな良いところからココに来るなんて、残念だね~」
「いや、俺は全然気にしてない」

 律も紬も唯も知っていたようだ。
 決してレベルが低い訳ではないが、この学校とか比べ物にならない位に差があるのは事実であった。
 その様子に歩は苦笑する。
 
 月臣学園を歩が選んだのは、ただ自宅から一番近い学校がそこだったからだ。
 当時は兄である清隆が失踪し、初恋の人であり兄の妻であったまどかの事が心配であった歩は、彼女の面倒を見ていた。当時のまどかは、1人では食事どこか用も足せないほどボロボロであったのだ。
 故に歩は自宅から一番近い学校を選んだのだが、彼は特に受験でも苦労してないので月臣学園に対して特に感慨もなければ拘りもない。

 また月臣学園は、悪魔であるヤイバの子供たち、ブレードチルドレンを監視するための鳥籠である。
 ある者は自然と入学し、ある者は学園から誘われ、ある者は全てを知らされ半ば強制的に、そうして集められたのが、月臣学園とその上層部である『ウオッチャー』と呼ばれる観察者たちだ。

 それを事実として並べると、とてもじゃないが憧れや尊敬など持てやしない。
 もちろん、それを彼女たちに教えるつもりもないが。

「ほぇ~~~。でもこれで安心だなぁ」
「何がだ?」

 突然、へにゃっと蕩けた唯に歩は問うと、彼女は、

「だって宿題忘れたり~、分からないところがあったら教えてもらえるもん」
「・・・・・・別に教えるのは構わんが、ちゃんと自分でもやれよ」
「やった~~~! ありがと~~~!」

 基本的に歩はお人よしの性格であった。
 そんな2人の遣り取りに、皆は困ったように笑った。

 しばらくお茶をしてのんびりしていると、歩は聞こうと思っていた事を思い出した。

「ああ、そういえば皆に聴こうと思っていたことがあったんだ」
「何だ?」
「なんですか?」

 小首をかしげて尋ねる澪と梓。

「規模事態はそう大きくはないんだが、ライブに参加できるんだ。どうする?」
「・・・・・・・・・・・・へ?」

 シーンとなる音楽室。

「やっほ~~~」

 と、部室に入ってくる山中さわ子先生の声がして、その直後。

「「「「「えええええええええええええええええええええ!?」」」」」
「え? なになに!?」

 びっくりしているさわ子先生を無視して、皆は騒ぎ出した。
 普段はおしとやかな紬や、歩の前では少しおしとやかで若干猫を被っていた澪も、素に戻って肩を掴み、ガクガクと揺すっている。

「ライブ!? どこの!? なんの!? 何時の間に!?」
「出たい出たい出たいです!」
「私も出たいです!」
「私もついにライブデビューか!」
「ライブ・・・・・・フフフ・・・・・・エヘヘヘ」

 澪の顔が歩の顔正面にきてばしばし叫んでくる。正直、近い。
 紬や梓が挙手をしてまで参加に賛成し、期待に胸を膨らませる。
 律と唯は・・・・・・何やら想像してて、涎がだらだら零れていた。

 歩は澪に「顔が近い顔が近い」と呟きつつ、何やら妄想している2人にドン引きしつつ答えた。

「日時は11月の半ば。あと一ヶ月後だな。場所は街中のライブハウスだな。秋祭りのコンセプトでやるらしくて、幾つかのグループも参加するようだ。とりあえず今は参加者受付中って感じだが、参加するなら今日中に申し込んでおくぞ」
「「「「「おおおぉ~~~~~」」」」」
「皆~~。なんの話~~?」

 スルーされて泣いているさわ子先生は哀れなり。

「仕事が早い・・・・・・流石、鳴海先輩。頼りになります」
「律とは違う。頼りになるな」
「なんだとぉ~~澪~~~!!」
「良い思い出、作れそう!」
「エヘヘ・・・・・・サインの練習しとかなきゃ」

 過去に2度も前科がある律は信用されていなかった。これでも部長である。
 歩は良し、と頷く。彼は紅茶を飲み干すと、さわ子へと席を替わり、紬のキーボード前に立った。

「あ、弾くんですか?」
「ああ。あんた達の演奏見て、弾きたいと素直に思えるようになったんだ」
「はあ・・・・・・?」

 意味が分からない、という梓は不思議そうな顔をする。
 皆のライブへの興奮が冷め止まぬ中、歩はキーボードへ手を乗せて手を滑らせた。



 フランツ・リスト作曲 オリジナル曲目

 『超絶技巧練習曲』

 その名の通り、非常に高度な演奏技巧を要するが、決して何から何まで超絶技巧の会得を目的としたわけではない。だが、プロのピアニストですら、この曲はミスせずに弾き切るのは難しいのだ。
 素人でも、この曲を聴けばとてつもなく難しい曲だというのが察せる。

「うわ・・・・・・っ」
「うまっ」
「すげぇえええええ」
「ふわああああああああああ」
「・・・・・・・・・・・・」

 背筋が怖気立つように鳥肌が立った。
 才能?
 確かにそれもあるだろう。
 だがこれは、それだけでは片付けられない。
 文字通りの練習量と努力の賜物、そう感じた。

『―――練習量は平均20時間―――』

 不意にその言葉を思い出し、そして世に認められた人、という肩書きが浮かぶ。
 ゴクリと、唾を飲んだ。
 自分達の目標は、武道館。それは世に認められなければならない。
 
 思わず、尻込みしそうになった。 

 歩が弾き終わると、彼はこう言った。

「ライブの日までは、全員必死に練習だな」
「「「「「うっ」」」」」

 練習好きな梓も、汗を掻きつつ嫌な予感がしたのであった。
 そんな彼女たちを、さわ子先生は口元を緩ませて見詰めていた。
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