スポンサーサイト 
-- / -- / -- ( -- )  --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 Com(-) * Tb(-) * page top↑ * [Edit]
冬コミ・・・ 
2010 / 10 / 29 ( Fri )  18:43
えと、速報メールが来ました。


「落ちたよ」








ちっくしょぉぉぉぉぉぉ!


てなわけでクレプスキューレはコミケ79には出られません。
当選されたサークルさん!
頑張ってくださいね!!!

ちなみに3年連続冬落選ですw


冬用の原稿はオンリーかなんかに回して夏に備えます!

スポンサーサイト
* テーマ:同人活動 - ジャンル:アニメ・コミック *
Crépuscule進行状況 * Com(0) * Tb(0) * page top↑ * [Edit]
第10曲 少女の願い 
2010 / 10 / 24 ( Sun )  22:45







「寒くなってきたな」

 一日のカリキュラムを終え、終礼のHRを終えたばかりの時間。
 鳴海歩は窓から外を眺め、ぼんやりとそんな事を呟いていた。

(今日は部活に行かないとな……昨日はサボった形になったし)

 協会への報告手続きなどで昨日は放課後をつぶしてしまった。
 それからは深夜まで練習に明け暮れ、まどかに改めて「やっぱりピアノが好きなのねぇ」と言われてしまったのだ。

「そういえばアニキの奴、妙にニヤニヤしてやがったが……何を企んでやがる」

 昨日の夜、変な電話がかかってきて、電話相手が兄に妙に興奮したように怒鳴っているようだった。
 兄はそんな相手を宥めていて、タイミングが合わなかったとか、訳のわからない事を連呼していたが…………。

 その後の兄の妙な企んだ態度に引っ掛かった歩だったが、面倒臭くて無視したのが悪かった。
 何か起こりそうな気がする。
 主に自分の周り限定で。

「はぁ…………」

 ドッと溜息を吐いて机の中の教科書を鞄に放り込み、席を立つ。
 すると目の前に誰かがやってきた。
 澪であった。

「鳴海君、今日は部活に来る、よね?」
「ああ。昨日はすまなかったな。どうしても外せない用事があってな」
「そ、そっか。でもそれなら一言、言っておいて欲しいかな。何かあったんじゃないかって心配する」

 少し不満な気を見せる澪。私は怒っているんです、と言いた気にそっぽを向いて頬を膨らませる彼女は、なんだか微笑ましい。
 歩は悪い悪い、と手を合わせて謝った。

「さあ、行こうぜ」
「うん!」

 2人揃って廊下を出て、音楽準備室へと向かう。
 会話は途切れているが、なんだかそれが自然に関じられて不思議と苦痛ではなかった。

 階段を上っている中、ふと澪が昨日のことを思い出した。

「そういえばさ」
「ん?」
「昨日、竹内理緒さんって子が訪ねてきたんだけど」
「…………ああ、あいつか」
「知り合い? なんだね」
「まあ、知り合いといえば知り合いか。かれこれ……1年以上の付き合いでもあるな」

 初対面でいきなり彼女の胸元で爆弾が破裂したり、爆弾付きの首輪をつけられ、まさに極限のゲームで殺し合いをしたりした。
 その後はカノン・ヒルベトの件で共闘し、何かと言葉を交わし、彼女から信頼という言葉を多く貰ったが……。

 また歩本人としては、彼女の卓越した頭脳は好感が持てる。
 言葉の切れ端だけで、言いたい事の内容を即座に察知し、また気持ち良い程の回答で帰ってくる。まさに打てば鳴るというところか。

(出会いからの一件は……まあ非常にアレだが、ブレードチルドレンの中でも特に親しいといえばあいつか。ラザフォ-ドは……違うしな)

 白鳥とでも形容できる男が浮かび、即座に否定。あれは好敵手だ。決して親友ではない。あいつもきっとそういうに違いない。
 
「ふ~~~~ん」
「……なんか勘繰ってないか?」
「何も!」

 澪としては本当になにもないのだ。
 ただ何かが、何かが引っ掛かった。それだけだった。

「まぁ、あいつも入部するようだからよろしく頼む」
「うん」

 その回答に歩もうなずいて、そして扉を開けた。

 その先にいたのは……。











「あ、弟さん、じゃなかった……歩さん、お久しぶりです!」

 リスのように頬を膨らませてケーキを食べる理緒と、苦笑している律、理緒の様子に何故か目を輝かせている唯や梓や紬の姿だった。 











「ああ、アンタか。久しぶりだな」
「はい、歩さんこそ。驚きましたよ、ここに転入してたんですから」
「兄貴の所為でな」

 席に着くと歩もケーキと紅茶を貰い、まったりティータイム。
 軽い自己紹介と共に皆が雑談を交わす中、歩が理緒に話しかけた。
 歩の言葉に理緒は小さく頬笑み、笑いかけた。

「……あの時ずっと入院していて、最後のあの時に手伝えず、申し訳ありませんでした」

 理緒が神妙な顔をして頭を下げた。

「入院って……病気でもしてたの?」
「大丈夫なのか?」
「律先輩、ここにいるんですから、もう大丈夫ってことだと思いますが」

 唯と律の戸惑いながらの言葉に小さく笑って大丈夫だと言い、歩へと再び目を無けた。
 一般人の彼女たちの前では、迂闊な言葉は言えない。
 だから、自然と目と目で会話になる。

 言葉は少ない。けれど何が言いたいのか、歩はよく分かった。

「全部、聞いたのか?」
「はい、キリエさんから」
「なるほどな……まあ、気になるな。全てを終わらせて、今の俺がいるんだからな」
「…………はい」

 その先に待っているのは、歩のクローン体という特別な事情による、細胞劣化からの死。
 既に悪魔の弟、水城火澄という少年は、病院で新薬の臨床被験者として闘病生活を送っている。

「なんかよく分かんないから、私にも分かるように説明してよ~~~」

 唯が頬を膨らませながら、パンパンと両手を叩いて煽る。
 どうやら除けものにされたのが納得できなかったようだ。

「簡単に言えばな、俺がここに来る前にちょっとした事件があってさ」
「事件!?」
「……目を輝かせるな何も期待するな。まあ兄貴が刑事だからな。そっち方面で巻き込まれて俺やこの理緒が怪我したんだ」
「うわ……そんなドラマのようなこと、本当にあるんだ」

 巻き込まれた、という言葉に律が少し引いたような反応を見せる。

「だけど俺の方が退院も早くてな。事件解決に兄貴の手伝いをして、こいつが退院した頃には全て終わってました、という訳だな」
「なるほど~~~! ダーティーハリーのような感じ? 金曜ロードショーのようなドンパチが繰り広げられたとか!?」
「ないないないないない」

 唯が目を輝かせて銃を手に持っているしぐさを見せながら、ポーズをとる。
 即座に否定した歩だったが、内心では「実はその通りなんだが」と思いながらもブンブン首を振って否定する。
 梓や紬そして澪なんかは唯の反応に苦笑していた。

「使ってみますか?」
「へ?」
「ハリー・キャハラン刑事の使用している銃は『S&W M29』という銃で、これのことです」

 そういうと、理緒は『脇腹あたりの制服の裾』を持ち上げ、そこから一丁の銃を取り出した。


「「「「「えええええええええええええぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」
「おい!」

 実銃を取り出した事と、どこから取り出しているんだ、という2重の意味での突っ込みをする歩。
 それを余所に、そのリボルバー式の銃を恐る恐る覗き込んでいる5人。

「本物みたいだね~~~~」
「かっこいいですね」
「でもでも、エアガンとはいえ、やっぱり怖いぞ」
「とってもリアルですねぇ」
「弟もエアガン持ってるけど……こんなにリアルだったかな?」

 どうやらエアガンだと思ったらしい。
 若干1名ほど、かなり怪しいのもいたが。

「学校にこんなの持ってくるな!」
「ぶぅ~~~~~~」

 歩の怒りにむくれる理緒。

 彼女は世界中でこう評されている。

『爆炎の妖精』
『爆発物のエキスパート』
『ブレードチルドレンの頭脳』

 名は体を表す。まさにぴったりな二つ名。
 あのブレードチルドレン最強と言われたカノン・ヒルベルトですら、理緒を殺害しようとしたら二の足を踏み、最大限に警戒する。
 迂闊に攻撃をすれば自分まで巻き添えを喰らってしまう、それほどまでに何が起こるか分からない相手。

 そして彼女がいれば、爆発物はどんなものでも解体されてしまう。
 とどのつまり、彼女は四六時中、必ず危険物を持ち歩いているのである。

 まさに人間火薬庫、という呼称がふさわしい。

「他にエアガンってあるの?」
「ありますよ。これはイスラムの解放軍が使ってる――――――」

 調子に乗った理緒が、怖いもの見たさで興味をもった一同に、次から次へと『実銃』をエアガンとして見せていたのだった。
 歩はその様子に小さく溜息を吐いた。




 




「これで理緒ちゃんもマネージャーとして入部してくれたし、軽音部も7名って、だいぶ増えてきたね」
「ああ。だけど良かったのか? 理緒たちだって何か楽器をすれば―――」
「ええ。まあ多少はギターとか弄るかもしれませんが、基本的にはマネージャーで」
「そっか」

 部活が終わり帰宅途中のメンバー。
 理緒と唯と律が最前列で会話していて、澪が相槌を打っていた。

 そんな中、突然に唯がうんうんと唸りだした。

「どうしよ~~~かな~~~~」
「どうしたんだ唯?」
「りっちゃん。理緒ちゃんのアダ名なんだけどね、りっちゃんと被っちゃうから悩んでるんだよ」
「そうですね。律先輩と理緒先輩で同じ『り』ですからね」
「アダ……名?」

 唯の言葉に、ヒクっと口元が引き攣る理緒。
 彼女はアダ名に関しては良い思い出がない。
  
 心なしか、彼女の後ろに『般若』が見える気がする歩だった。

「りおにゃん……りおん……ん~~、なんかしっくりこないなぁ」
「普通に理緒でいいんじゃないか?」
「え~~~~」

 澪の言葉に納得できないのか、不満な唯。
 そこで何か知ってるんじゃないかと歩へと振ったのは紬であった。

「ねえねえ、鳴海君は何かいいのない? 前の学校での理緒ちゃんのアダ名とか」
「!!」

 そこで過剰反応するのはやはり理緒である。
 だがその反応を歩は無視してからかおうとするが……。

「ああ、一部の連中から呼ばれてたのがあったな」
「ほんと!? なになに?」
「いろいろあるが中でも一番は、爆裂ロr――――モガモガ!」
「な~~~~んでもないですよね~~~~? そうですよね、歩さん?」

 後ろからぶら下がり、口を両手で塞ぎ般若化する理緒。

「爆裂?」
「ロ?」

 歩の言葉に首をかしげる唯や梓。まさか思いもしないだろう。
 その後に続くのが『ロリータ』などという言葉だとは。

「「…………」」

 そのやり取りを見ていた紬と澪は、何故か沈黙した。

「おっと、じゃあ俺と理緒はこっちだから」
「じゃ~~ね~~~」
「「また明日~~~~」」
「「また」」

 交差点で別れると唯たちとは反対方向、駅への方角に向かった。
 澪や律は同じ方向へと歩いていると、澪の無言の状態が気になったのか、律が澪に話しかけた。

「なあ、澪。何かあったのか?」
「え?」
「さっきから変だぞ? なんだか難しそうな顔してるし」
「ああ…………前も話してたけど、私たちって鳴海君のこと知らないなぁって」
「そのことか」
「うん……」

 チラリと律が横目で見ると、澪は眉間にしわを寄せていて、なんだか拗ねているいるように感じる。
 こんな澪を見るのは、幼馴染の律としては初めてみる顔だった。

「……それで理緒が入部して、仲良くしているところを見て納得いかないって?」
「!!」
「でも理緒の方が鳴海君と早く出会ってるんだから、当然といえば当然だろ?」
「そうなんだけどさ……」
「軽音部仲間としては私たちの方が早いから、どこか納得いかない、と」
「うん……」

 確かにそれは少しは分かるかなぁ、と律も漏らす。
 一緒に練習し、一緒に同じ曲を聴き、奏で、意見を交わし、共に同じ時間を過ごした。

 それは、律としてもとても楽しかった。

 思い返せば、青春してるかもなぁと思ったりもする。
 いわゆる仲間意識ってやつかも、と心の中でつぶやいた。

「ま、これからも長い付き合いになるんだから、そう深く気にする必要もないって」
「そうだな」

 律の言葉に頷く澪。
 そう。まだ高校卒業まで1年以上もある。
 そして大学に入ってもまだ続いていく可能性だってあるのだ。

 そう、言い聞かせて納得させた。

 だが澪は知らなかった。

 歩に残された時間は、少ないという事を。 
 そしてこの時、律が寂しそうな顔を浮かべていた事を。






 

 完全に日が暮れた時間、平沢家では憂がエプロンを片手に、

「それでね、理緒ちゃんが入部したんだよぉ」
「へぇ~~。良かったね、お姉ちゃん」
「うん!」

 等と会話をしていた。姉である唯が居間でゴロゴロと転がっていて、妹の憂がキッチンに立つという、なんとも微妙な光景かもしれない。
 しかし平沢家ではこれが当たり前の光景であった。 

「もうねぇ、小さいんだけど可愛くて~、温かくて~、リスみたいで~~~」
「リ、リスって……」

 唯の例えに頬を引き攣らせる憂。
 ケーキを頬張っていた理緒を思い出し、うっとりする唯は悪気はまったく無いようだ。

「ぬくぬく~~~」
「ハハハ」
「リオちゃんぬくぬく~~~、鳴海君もぬくぬく~~~」
「え?」

 ゴロゴロ転がりながら微妙~な発言をする唯に、憂はピタリと手を止めて唯を凝視する。

(お姉ちゃんのことだから深い意味はないんだろうけど……もう、ややこしいなぁ)

 やれやれと溜息を吐いた。
 ふと、自分の胸元を見る。

(なんだろう……この感じ。嬉しい? ううん、不安?)

 何かを掻き立てられるような、焦燥感のような、何か。
 得体の知れない何かが胸に膨れ上がってくる。

「お姉ちゃん、ご飯はもう少しかかりそうなんだけど」
「あ、そうなんだ。なら私は…………ギー太~~~~」

 ギー太に近寄った唯は、ギターケースから相棒のギターである『ギー太』を取りだし、肩に掛けた。

「ん~~~」

 それから『ふわふわタイム』『ふでぺんボールペン』など、彼女たちのオリジナル曲であった。
 完成度を高める為に、何度も何度も同じフレーズを練習する。
 そして苦手なコードの練習に入ると、ちょうど憂も夕飯の支度を終えたようでテーブルに料理を並べ終え、唯の向かいに座った。

「ん~~~」
「どうしたの? お姉ちゃん」
「えっとね、鳴海君みたいに上手く弾けないなぁ……って」
「鳴海さんのようにって……あずさちゃんみたいに、じゃないんだね」
「ううん、もちろんあずにゃんも上手だよ。すっごく」

 だけどね、と唯は続ける。

「鳴海君のは……なんて云えばいいのかな。こう……そう、普通じゃないんだぁ」
「?」
「鳴海君がピアノを弾いてるとね、絶対にミスすることは無いって断言できる位に安定してるの」
「へ~~~~」
「凄いよねぇ。私も同じくらいに、こう、目を瞑ってても弾けるくらいになりたいなぁって」

 じゃらららぁん、と言いながら、ピアノを弾く素振りを見せる唯。
 憂はクスッと笑って提案してみた。

「じゃあ、鳴海さんにお願いしてみたら?」
「ふぇ?」
「どうやったら上手に弾けるようになるんですかって、聞いてみたらいいんじゃない?」
「う~~ん。でもでも、練習しろって云われるだけのような気が……」
「うん。それなら一緒に練習して教えてくださいって頼めばいいんじゃないかな」
「…………おおっ!」
「鳴海さんってそういうお願いって断りそうにないっていうか……そんな気がする」
「分かった! 明日、鳴海君に聞いてみる!」
「うん!」

 じゃあご飯食べよ、と2人は笑って食卓に着いた。



 

 とあるほのぼの姉妹がそんな話題を繰り広げている中。
 理緒と歩むは未だに帰宅途中であった。
 理緒と歩は住んでいる町が一緒であることから、必然的に同じ電車内、同じ方向になる。

 電車から降り、街中を歩く。

 既に辺りは暗くなり、駅前周辺は小売店の店の明かりや街頭などが明かりを灯し、帰宅途中のサラリーマンの男性が行き交っていた。
 2人はそんな中、並んで歩いていたのだが、理緒が突然手を握ってきた事により足を止めた。

「な、何を……」

 驚く歩。
 それは当然だった。
 ただ手を握るならまだ話はわかる。
 しかし、彼女は歩の片手を包むように、両手で握ってきたのだから。そしてその手を額の前に持ってきて、祈るようにくっつける。

「お願いです…………生きるのを諦めないで下さい…………」
「…………」
「貴方が生きる事が私たちの道標になる? そんな理由で生きないでください。私たちは既に貴方に世界から生かして貰うきっかけを戴き

ました。ならば私たちはあとは己の力で生きなくてはなりません。いえ、そうするべきなのです」
「…………」
「だから貴方は……自分の為に、未来を生きてください」

 その声は震えていた。
 理緒は今の歩が信じられなかった。

 現在の歩が、何を支えに生きているのか、さっぱり分からなかったから。

 己の絶望を唯一理解できる半身とでもいうべき悪魔の弟を、自らの手で手放した。
 己の出生ですら否定し、両親にすら否定され、そして最後の最後まで信じていたはずの相棒にすら裏切られた。

 その果てに得たものは、数年の時間だけ。

 それで何か変わっただろうか。そこに希望はあるのだろうか。

(ひよのさん……貴方はそれでもこの人を裏切って……!)

 ギリっと唇を噛みしめる。
 神である清隆が用意した、歩を追い詰める最後の切り札。

 それは歩をずっとサポートし信じてきた相方の、裏切りという名の一手。
 これまで彼女が見せてきた言動も、表情も、その気持ちも、全ては清隆から依頼されたから行った偽りのものだった。

 それは想像以上の刃となり、この目の前の人を傷つけたことだろうと、理緒は思っていた。
 何故それに耐える事ができたのか?
 何故、その憎しみに耐えて清隆を殺さなかったのか?
 どうして、どうして、どうして。

 理緒の卓越した頭脳は、それでも歩のその時の行動が、理由が理解できなかった。

 立ち止り手を握って縋るような大勢の理緒と驚き戸惑っている歩の2人の傍を、通行人が訝し気に通り過ぎていく。
 2人はとても目立っていた。

 まあ、路上で『少女』が青年の両手にしがみ付いて祈るようなポーズを取っていれば、不審がられるのも当然なのだが。

 だが歩や理緒からすればそれどころではない。

「なあ、ブレードチルドレン・竹内理緒」
「…………ふぇ?」

 いきなりフルネームで呼ばれて、理緒は埋没していた思考から起き上がる。

「兄貴と結構長いこと一緒にいたアンタならいろいろ俺の事を知っているんだろうけどさ」
「…………はい」
「今のアンタからすれば、現在の俺は理解できないんだろうけど、それでも……」
「…………」
「それでも昔より、今の自分を大切にしているよ」
「!!」

 歩の言葉は、理緒に動揺を与えた。
 その瞳がグラグラと揺れ、どんどん潤んでくる。

「…………ひよのさんが居ないのに、ですか?」

 理緒の言葉に若干だが歩はうつむく。
 その様子をジッと理緒は見つめていた。

「ああ、そんな名前だったっけか?」
「へ?」
「悪いが俺は名前を覚えるのは苦手なんだ。今の今まで忘れていた」
「…………」

 ポカーンとする理緒に肩を竦めてみせる歩。
 ちょっと酷い、と思った理緒であった。
 もちろん、本気か本気でないかとは別にして。

「ラザフォードや土屋キリエに何を吹き込まれたか知らないが、あいつが兄貴のスパイだった事は、最後の対決のずっと前から気付いてい

たぞ」
「なん……ですって!?」
「だから心の整理もつけていた。故に兄貴の挑発にも乗らなかった。動揺もしなかった」
「…………」

 嘘だ。
 理緒は直感でそう感じた。

 動揺したはずだ。傷ついたはずだ。それなのに耐えられたのは、この人は何を支えにしていた?
 理緒はそう問い詰めたかった。

 だが歩はそんな彼女に気付かずにこんな事をのたまった。

「それに今は、俺はやりたいことをやってるしな」
「そう……なんですか? 軽音部なんてやってるのに?」
「ああ。あいつらのヘルプに入る価値はある」

 歩はくしゃりと理緒の頭を撫でた。

「随分と後押しされた気がする。素直に音楽を楽しんでいる平沢、田井中、寿吹、秋山、中野。俺もそんなあいつらと関わる事で、再びピ

アノをやりたくなってな」
「ピアノを…………」
「昨日も協会に行って、報告してきたところだ。今度のピアノコンクールから復活するって」

 その言葉に理緒は衝撃を受けた。
 まさかそこまで立ち直っていたなんて、と。

 しかしそこで騙されないのが、理緒というどこまでも頭がキレる女性だった。

「で、でも! そんな精神的にも肉体的にも負担がかかる世界に戻ったら!」
「ああ。間違いないだろうな」

 仮に何もしなかった場合、二十歳まで生きられたとしよう。
 だがこの世界に戻った場合、身体がどんどん弱る自分は、それでもきっと無茶をし続ける。故に寿命を縮めることになるだろう。 

 そんな事は分かっていた。

「体内の臓器は、これからどんどん弱っていく。俺はそれでもピアノを引き続けるだろう」
「!!」
「そしてその結果、俺は死ぬんだろう。だけど安心もしている」
「安心?」
「ああ。今アンタが言った通り、ブレードチルドレンのみんなはそれぞれが自分自身の手で自分を救ってやるしかなく、そしてそれができ

るとも信じているからな。なんの心残りもないというのは安心さ」

 少し前から感じていた死への恐怖は、この時だけは隠した。
 嘘を、ついた。

「…………」
「だけど軽音部の事は心配だ。特に平沢だな」
「……へ?」
「あいつのお気楽思考は心配だ。このままじゃ、いつか騙されるのがオチだぞ」
「いや、あの……」
「よって俺が徹底的に鍛えてやるさ。それに秋山も心配だな。あのあがり症は重傷だ。中野もしっかりしているようで危うい。一番安心な

のは寿吹だがやはり心配だ。田井中は精神的に一番強そうに見えるが意外と脆いというのが俺の見解だ」
「ハッキリ言いますね、歩さん」
「言っただろ? 俺は酷い奴なんだ。だからあいつらの面倒もしっかり見ていくさ。
 アンタもマネージャーとして入るなら、頼んだからな」
「はぁ……分かりました!」

 歩が“本音を言わない”ことに少し憤りを感じつつ、承諾する。
 怒ったしぐさを見せるのは、せめてもの抵抗か。

「私も明日からマネージャーとして入りますから!」
「ああ。アンタがいてくれるなら、俺も安心だ」
「! ~~~~~~~~」

 ポンポンと手を頭に乗せてくる歩に理緒は顔を赤らめつつ、自分の扱いに文句を言うことにした。

 私は怒っているんです、という芝居を打ちながら。



 つづく。


 PSP『けいおん』最高♪
 PSP『零の軌跡』マジよかった。
* テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学 *
ありむんの小話 * Com(4) * Tb(0) * page top↑ * [Edit]
プロフィール

きゅうり

Author:きゅうり
ローゼンメイデン
マリア様がみてる
さらにけいおん中心の
同人サークル
Crépusculeのブログです。
(クレプスキューレと読みます)
HPが出来るまではこちらで
進行状況、小言、など展開(?)
していきます!!


Crépusculeメンバー
***************
・きゅうり
 (最近おねがい戦士にハマッテマスwww)
・ファーストドラゴン
・ありむん
***************


バナーを作ってみました~。
ご自由にお使いください。
(クリックで元の大きさ200x40です)

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック

月別アーカイブ
カテゴリー
FC2カウンター

ブロとも申請フォーム
ブログ内検索

RSSフィード
リンク
バナー付きリンク

更新する時間ねぇ メンチさん、はらぺこさんのサイト
東方系で活動中
合同誌でお世話になりました!
エヴァ好きな方は
覗いて見てくださいね!
ついにけいおん
ゲーム化!!
きゅうりは絶対
ムギちゃん!!!

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。